私は基本的に著作権譲渡の条件ではお受けしていません。
イラストは「作業費」ではなく「イラストを使用する権利」を販売しています。
その理由はなぜなのか。私の考えを書いておきます。
あまりここら辺の話を詳しく知らない方も多いと思いますので、ご参考にしていただけたら幸いです!
1.自分の仕事として紹介できなくなる
まず、著作権を譲渡してしまったイラストは、買い取った企業のものになってしまいます。
なので、自分の仕事の経歴として、WEBサイトやSNSで紹介することができなくなります。
今後のお仕事のサンプルとして紹介できなくなるので、イラストレーターとして営業することがとても不利になってくると思います。
何より、せっかく自分が手がけたお仕事なのに紹介できないなんて、 すごーく悲しいです…。
2.イラストが何に使われるかわからなくなる、改変されても文句が言えない、自分で管理できなくなる
著作権が譲渡されてしまったイラストは、先に説明した通り、企業の物になるので
描いた本人が管理できず、広告用に描いたイラストだったのにまったく別の案件で流用して使われたりしても何も抗議できなくなります。
もちろん、企業所有のイラストになるので、改変される可能性もあります。
描き手側の気持ちとしては、自分のイラストがどこで使われるかわからない、
勝手に改変されるのは、気持ちのいいものではないです。
それと重要なのが、いろんな広告に流用されても、その流用費をイラストレーター側が請求できなくなります。
最初は雑誌のカットで数千円のギャランティで描いたものだったのに、広告やCMに使われたりする可能性もあります。
そんなに広く使われる権利を数千円で買取されてしまうと、イラストレーター側の損害があまりにも大きいです。
イラストを発注された担当の方がそんな考えが無くても、
その担当者の方が退職され担当者が変わったりしたら、その後イラストがどう使われるのかはわからなくなります。
ですから、そのことも考慮していただけると、イラストレーターとしてはとても助かります。。。
3.競合他社の仕事ができなくなる
なぜ制作されたイラストは流用費をいただくのか、使用期間を決める必要があるのか。
それは、その企業の広告でイラストが使用されると、競合他社のお仕事ができなくなる為です。
理由は広告のイラストのお仕事は、基本バッティングNGです。
ある企業の広告の仕事をしたら広告が掲載されている期間、その企業のライバル会社との仕事はできなくなります。
なぜなら、イラストはその企業の世界観やイメージを作るものなので、ライバル企業と同じイメージになってしまうのは良くないからです。
芸能人やタレントの方々も同じですよね。
なので、前の項目で説明しましたが、著作権を譲渡したら何にイラストが使われるのがわからなくなるので
何の仕事ができるのかできないのかが自分で管理できなくなり、その使われた競合の企業の仕事は一生できなくなります。
わからないままお仕事をしてどこかの企業とバッティングしてしまったら、企業様にとっても良くないことです。
そんな状態になったら自由にイラストのお仕事ができなくなりますし、イラストレーターとしてお仕事することが難しくなってしまいます。
イラストレーターがいなくなるかも…ぐらいピンチ!なことなのです。
4.転売される可能性もある
買い取られたイラストは、勝手に転売される可能性もあるのです…。
もうこうなったらイラストレーターは損害だらけになってしまいます。。。
とは言え、イラストをなるべく色んな媒体で展開してもらいたい
著作権を譲渡しない理由は大きく言うとこんな感じになります。
これからイラストを発注される方、もしくはこの内容を知らなかったイラストレーターの方々の参考になると、とってもうれしいです!
著作権を譲渡し説明した通りになってしまうと、イラストレーターとして働くことが難しくなり、
結果、プロのイラストレーターがいなくなる可能性があります…!
そうなると今後、イラストを使用される企業の方々も困りますよね???
お互いのために、著作権はイラストレーター側に帰属して欲しいのです!
…とはいえ、著作権譲渡を条件にされる企業様も、
「予算を削りたい」「媒体流用をいちいち知らせるのが面倒」
というご意見もあると思いますので、その場合は一度ご相談ください。
ご予算によって、「その商品・案件に限り、使用期間内で、どんな媒体でも流用可能」など、
条件をご提案させていただきます。
お互い気持ちよくお仕事できたらなと思っています。
クライアント様に、世の中の方々にベストなイラストを提供できるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします!
追記:私が所属しているイラストレーターズ通信のブログにも、イラストの著作権についてのことが書かれているので、そちらも合わせてご覧ください。→著作権譲渡にNO!